苦手なものは下手? 下手なものは苦手?①

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今回のテーマ


ある中国人男性からの質問です。

苦手と下手の違いはなんですか。私はこれを使い分けられない。


確かに似たような意味ですね。ではその違いを比べてみましょう。

解説

「苦手」の意味



①性分が(自分の性格にとって)合わなくて、また、対処しにくくて、嫌な感じをもつこと。また嫌であったり、自分に合わないような相手。
②得意でないこと。またその様子。=不得手。

「下手」の意味



①技術や手際(物事の処理の仕方や進め方)が悪くて、物事が巧みに(上手に)行えないこと。またそのような人。また、結果や出来栄えが劣っていること。
②悪い結果を導く(起こす)ような、まずい(良くない)方法で物事を行うこと。また、良くない方法をした時の結果。

「苦手」の②の意味と「下手」の①の意味は大体同じだと言って大丈夫でしょう。だから、「苦手」と「下手」は似たような意味に感じるのはとても正しいです!

例文による解説①

では、始めに意味が似ている苦手②と下手①の意味の例文からみてみましょう。

苦手②
彼は運動が苦手だ。
英語の苦手な人。
数学や理科の苦手な人。
料理が苦手だ。
カラオケが苦手だ。
人付き合いが苦手だ。

下手①
彼は運動が下手だ。
英語の下手な人。
字の下手な人。
ソフトボールの選手だが、下手なプロ野球選手より、はるかに野球が上手い。
料理が下手だ。
カラオケが下手だ。
人付き合いが下手だ。

どうでしょうか。「苦手」と「下手」は同じ使える場合があることがわかるでしょうか。
このような場合は「苦手」と「下手」は同じように使えます。

例文による解説②

続いて、個別の事例をみて、具体的なニュアンスの違いを検討してみましょう。


彼は運動が苦手/下手だ。
料理が苦手/下手だ。
カラオケが苦手/下手だ。
人付き合いが苦手/下手だ。
英語が苦手/下手だ。
数学や理科が苦手だ。 (下手は使いづらい!)

「運動」から「人付き合い」までは「苦手」と「下手」はほとんど同じ意味です!
問題は「英語」・「数学」・「理科」です。

始めに「英語」から検討しましょう。


英語の苦手な人(英語が全体的に成績が悪いor そもそも英語が出来ない)
英語の下手な人(主にwritingやspeakingが悪い、発音が悪いニュアンス)

「英語」に関して「苦手」と「下手」では上記のような意味の違いが出てきます。


下手という意味は目に見える技術に使われます。したがって英語が下手という場合は、技術的な意味において英語が出来ない、すなわち、writingやspeakingが悪い、または発音が悪いという意味をする場合が多いです。英語というのは確かに勉強の科目ですが、書いたり、話したりという実際的な活動も含まれていますね。


同じ理屈で、「数学」や「理科」という言葉に「下手」が使えない理由も分かるでしょう。英語と違って数学や理科は一般的に実技がないので、下手は使いづらいのです。


では「料理が苦手/下手」という言い方はどうでしょう。料理は一般的に実技しかないので、「苦手」と言おうが、「下手」と言おうが同じ意味を表します。同様にカラオケ・人付き合い も主に実技ですよね。


まとめると、苦手はある物事が全体的に出来ない、または理解していないことを意味するのに対し、下手は特に目に見え易い実技に関して出来ていないことを意味します。もちろん実技が出来ていないという点は苦手という言葉でも説明できます。

まとめ

「苦手」と「下手」のニュアンスの違いについては分かったでしょうか。
ところが、「苦手」に関してはもう少し深い意味があります。

実は、英語が堪能でも、「英語が苦手」だという言葉を使うことも出来るのです!
それはどういう意味か? 詳細は次の項目で説明します!