「ように」と「ために」の違い①

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今回のテーマ

ある中国人の日本語教師から要請が来ました!


『学生が「ように」と「ために」の違いを理解するのに苦労しています!どうかこちらのウェブサイトで解説文を作ってください。よろしくお願いします!』

そこで、 今回は4回分の記事にわたって「ように」と「ために」の違いを解説します!

「ように」と「ために」の用法の解説については過去の記事を参考にしてください。

解説記事へのリンクは以下からどうぞ。

「ように」の用法の解説
「ために」の用法の解説

「ように」と「ために」の似ている用法

過去の記事をご覧になった方ならすぐに分かると思いますが、「ように」と「ために」は両方に「目的」を表す用法がありますね。

この点が日本語学習者を混乱させて、「ように」と「ために」の違いの理解を難しくしているのでしょう。

それぞれの「目的」の用法を再掲します。

「ように」
(「~ように)の形で)動作や作用の目的を表す。

「旗がよく見えるように高く掲げた。」
「涼しい風が入るように窓を大きく開けた。」
「虫が部屋に入らないように窓を閉めた。 」


「ために」

目的を表す。

「生きるために働く。」
「目標達成のために努力する。」
「勉強のための資金を集める。」
「気分転換のために散歩する。」

2つの「目的」用法の違い

では、両者の違いを結論から述べましょう。
以下に箇条書きにしました。


a:「ように」は「状態を表す動詞」に付くことが多いです。
「ように」は「様に」と漢字で書けます。
「様」は「様子」の「様」ですね。すなわち状態です。文章に「自然と」をつけると状態性は明確になる。

b:「ために」は「意志的」、すなわち、「自ら積極的に動くことを表す語」に付くことが多いです。
名詞に付く時は「のために」、動詞に付く時は辞書形(連体形)に「ために」を付けます。

c:両方付けることが出来る動詞も存在します。ニュアンスが少し変わってきます。
また、間違いだと指摘してくる日本人もいるかしれません。
否定文の場合ニュアンスの差はほとんどないでしょう。

d:両方付けられるが、用法が「目的」から代わる場合があります。文章としては成立します。
これも日本人に間違いだと指摘される場合もあるかもしれません。

e:「ように」か「ために」のどちらか一方しか付けられない動詞の場合があります。
無理矢理他方を接続することはできますが、意味が変わります。
そして、その文章の意味は大分不自然になるでしょう。そのような状況が成立するとしたら大分特殊でしょう。あまりその状況が成立するとは思えません。

解説

今回は、「ように」に例文の書き換えについて解説します。次回に「ために」の例文の解説をします。

A:「旗がよく見えるように高く掲げた。」 →aのパターン。「見える」という状態の動詞

書き換え
→「旗よく見せるために高く掲げた。
bのパターンの文章。
「見せる」に変えて「他人に旗を見せようとする意志」や「旗を見てほしいという気持ち」が感じられます。

→「旗よく見せるように高く掲げた。」
dのパターンの文章。
比況の用法に変化しています。
しかし、日本人は比況の用法だと即座に理解出来なくて間違いだと指摘するかもしれません。
「見せるかのように」や「見せ付けるように」とすると誤解を生みません。
つまり、「旗を高く掲げた」という単なる行為ではなく、下に居る人に「わざと見せつける」ような揚げ方をしたという意味になります。

a,b,dのパターンに変化しましたが、これらの例文に関して互いに大きな差がないので、今回は意味の違いはあまり考えなくてもいいと思います。
あとは文脈によります。

→「旗がよく見えるために高く掲げた。」
eのパターンの文章。

これは「旗がよく見えるから」という原因や理由を表す用法になってしまう。
この状況は、「旗が低い位置にあると誰かに見られ易くて問題である。だから高い位置にして見えづらくしよう」という意味です。

一般的に旗を高くした方がよく見えるので、間違いなく例外的な状況である。したがって、これは文章として使う頻度が極端に少なく、不自然であるので書き換えは不適切です。

まとめ

以上、「ように」と「ために」の違いを解説しました。

http://www014.upp.so-net.ne.jp/nbunka/0211ga.htm
こちらのサイトにも具体例がたくさんありますので、参考になります!是非ご覧ください。

次回も「ように」の例文に関する解説を行います。


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